MediE

研修医マッチング 希望順位の付け方「正直に並べる」が最適解である理由

本記事の監修者

Picture of 水木 泰祐 (Dr.みずき)

水木 泰祐 (Dr.みずき)

東邦大学医学部卒。浪人・留年・国試浪人を経て、医学教育の革新に挑む。
「4浪4留2国浪」という異色の経歴を持ち、医学部入学から医師国家試験合格までに数多くの困難を経験。その過程で得た知見と反省を活かし、同じように悩む医学生を支援するため、医師国家試験個別指導塾「MediE(メディエ)」を設立。「教えない、導く。」をモットーに、コーチング・メンタリング・コンサルティングを融合させた独自の指導法を展開している。
MediEでは、個別最適化された学習支援を通じて、留年・放校・国試不合格のリスクを抱える医学生の自学自習力を育成。また、YouTubeチャンネルやSNSを活用し、医学教育の在り方そのものに変革をもたらす活動も積極的に行っている。

目次

こんにちは。医学部進級・医師国家試験対策の個別指導塾 MediE(メディエ) です。

病院見学も採用試験も終わり、いよいよ希望順位を登録する時期になりました。2026年度マッチングの希望順位登録は9月10日(木)14時に受付が始まり、10月8日(木)14時が最終締切です。

この登録は、初期研修2年間の行き先を決める作業です。にもかかわらず、多くの学生が「倍率が高いから第1希望は現実的な病院にしておこう」といった、やってはいけない考え方で順位を組み立ててしまいます。

結論から書きます。マッチングでは、自分が本当に行きたい順に正直に並べることが、数学的に最適な戦略です。この記事では、その理由と、順位を決めるときの具体的な判断軸、そして中間公表との付き合い方を整理します。

2026年度マッチング、9月以降のスケジュール

9月10日(木)14時:希望順位登録の受付開始

選考を受けた研修病院の中から、入職(研修)してもよいと思う研修プログラムのみを登録します。この「のみ」が重要である理由は後述します。

9月24日(木)14時:中間公表前の締切

この日までに、なるべく希望順位登録を済ませておく必要があります。中間公表の集計のため、参加者側の希望順位登録操作が一時的に停止されます

ここで誤解しやすいのですが、これは最終締切ではありません。操作再開後から最終締切までの間、何回でも登録・変更ができます。ただし、この時点で登録していないと中間公表の集計に反映されません。

9月25日(金)14時:中間公表

前日締切時点で、各研修プログラムを第1希望に登録している参加者の人数を見ることができます。参加者側も病院側も、同じ情報を見ます。

10月8日(木)14時:希望順位登録の最終締切

システム時刻が14時になると同時に、登録作業の途中であっても締め切られます。端末の不具合、停電、病気、怪我など、いかなる理由であっても期限後の登録はできません。

10月22日(木)14時:組み合わせ結果発表

マッチングシステムで結果を確認できます。

なぜ「正直に並べる」のが最適なのか

マッチングは、コンピュータが一定の規則(アルゴリズム)に従って組み合わせを決定するシステムです。採用しているのは、経済学で「安定結婚問題」として知られるアルゴリズムで、参加者(受験者)の希望が優先されるように設計されています

仕組みを簡単に追ってみる

大まかには、次のように進みます。まず、全参加者の第1希望に基づいて仮の割り当てが行われます。定員を超えたプログラムでは、病院側の順位表に従って一部の参加者が外れます。外れた参加者は、自動的に第2希望のプログラムで再び検討されます。これを繰り返し、全体が落ち着いたところで組み合わせが確定します。

ここから導かれる結論が2つあります。

1つ目。第1希望で外れても、第2希望以降の選考で不利になることは一切ありません。「第1希望に落ちた人」として扱われるわけではなく、最初からその順位で検討されたのと同じ結果になります。つまり、人気病院を第1希望に書くことのリスクは、実質的にゼロです。

2つ目。書かなければ、挑戦する権利すら発生しません。倍率を恐れて本命を第2希望に下げた場合、その人が第1希望に書いた病院にマッチしてしまえば、本命は永久に検討されません。

「戦略的に順位を下げる」は、純粋な損である

これがこの記事で最も伝えたい点です。順位を実際の希望と違う順番に並べ替えることで得をする場面は、この仕組みには存在しません。得られるものはなく、失うものだけがあるという構造になっています。

「倍率が高いから」「同級生の多くが第1希望にしているから」「自分の成績では厳しいから」。これらはすべて、順位を変える理由になりません。順位を決める唯一の基準は、自分がどこに行きたいかです。

中間公表(9月25日)との正しい付き合い方

9月25日14時、各プログラムの第1希望登録者数が公表されます。ここが、順位表が最も歪みやすい瞬間です。

数字を見て順位を下げてはいけない

第1希望者数が定員を大きく超えている本命を見て、慌てて順位を入れ替えたくなります。しかし前述のとおり、順位を下げても得はしません。中間公表を見て本命を第2希望に下げた場合、失うのは本命に行ける可能性だけです。

そもそも中間公表の数字は倍率ではない

いくつか理由があります。まず、これは9月24日時点のスナップショットにすぎません。最終締切は10月8日で、この間に登録・変更する人が多数います。

次に、公表されるのは第1希望の人数だけです。実際の組み合わせは第2希望以降も含めて決まるため、第1希望者が定員未満のプログラムであっても、他プログラムから流れてきた人で埋まることがあります。逆に、第1希望者が定員を超えていても、その全員が最終的にそこを第1希望にしているとは限りません。

では中間公表は何に使うのか

使い道はあります。順位表の下位、つまりアンマッチを避けるための備えを検討する材料としてです。

上位の順位は動かさない。ただし、登録済みのプログラムがどれも第1希望者過多で、自分の順位表が短い場合には、「まだ選考を受けていて登録していない病院がないか」を確認する。この使い方であれば、中間公表は有益です。

順位を決めるときの判断軸

「本当に行きたい順」と言われても、そこが難しいという人は多いはずです。判断が割れたときに効く軸を挙げます。

2年後の自分が何をできるようになっていたいか

初期研修は2年間です。この期間で身につくものは、症例数、任される裁量、指導の密度でほぼ決まります。「見学したときの雰囲気」は重要な情報ですが、それだけで決めると2年後に後悔しやすいというのが率直なところです。

確認すべきは、救急外来でファーストタッチを任されるのか、上級医が常時いる体制なのか、手技をどの程度経験できるのか、カンファレンスで研修医が発表する機会があるのか。見学時にメモを取っていれば、いま読み返してください。

生活が持続可能かどうか

当直回数、休みの取り方、住居、通勤。ここを軽視すると、2年間のどこかで無理が出ます。成長機会と生活条件は、どちらかを選ぶものではなく、両方が最低ラインを超えている必要があります。

その先の専門研修への接続

進みたい診療科がある程度見えている人は、専門研修(専攻医)への接続を考慮に入れる価値があります。同一施設や関連施設で専門研修を継続できるか、その診療科の症例が十分にあるか。ただし、初期研修中に志望科が変わることは珍しくないため、ここを最優先にするのは早すぎるとも言えます。

大学病院か、市中病院か

一般論として、市中病院はcommon diseaseの症例数と裁量、大学病院は専門性の高い症例と研究・教育環境に強みがあるとされます。ただし施設差が非常に大きく、この二分法だけで決めるのは雑すぎます。個別のプログラム内容で判断してください。

広域連携型プログラムを検討している人へ

大学病院と医師少数県の協力病院を組み合わせる広域連携型プログラムについて、2027年度からは1年目に協力病院・2年目に大学病院で研修する「広域連携型プログラムⅡ」が新設されます。従来は1年目に大学、2年目に協力病院というⅠ型のみでした。

1年目をどちらで過ごすかは、初期研修の手応えを大きく左右します。地域医療の現場で先に主体的な経験を積みたいのか、まず大学病院で系統的に基礎を固めたいのか。順位を決める前に、自分がどちらのタイプかを言語化しておくと迷いが減ります。

登録するとき、実務上の注意点

「保険」で行く気のない病院を入れない

マッチング協議会は「入職(研修)しても良いと思う研修プログラムのみ登録」と明記しています。これは建前ではなく、登録した以上、そこにマッチする可能性があるという意味です。

アンマッチが怖いという気持ちは分かります。しかし、行く気のない病院を下位に入れて、そこにマッチしてしまった場合、あなたは2年間そこで研修することになります。アンマッチより悪い結果になりうるという点を、登録前に一度考えてください。

順位に登録できるのは、選考を受けた病院だけ

採用試験を受けていない病院を、いまから順位表に追加することはできません。順位表の長さは、夏までの行動量で決まっています。ここは今から変えられない部分です。

締切直前の作業を前提にしない

10月8日14時、システム時刻ちょうどで打ち切られます。参加登録のときと同じルールです。9月24日までに一度登録を完了させ、10月上旬に見直すという進め方が最も安全です。

アンマッチだった場合にどうするか

10月22日の結果発表でアンマッチだった場合、すぐに二次募集を行っている病院を自分で探し、直接連絡を取ることになります。ここでの初動の速さが結果を大きく左右します。

心情的にはつらい局面ですが、二次募集で良い研修先を得ている人は毎年います。10月22日に落ち込んで動けない数日が、最も高くつきます。あらかじめ「もしアンマッチだったら、まずこれをやる」と決めておくだけで、初動は変わります。

そしてこの時期は、国試の出願(11月2日〜11月30日)と重なります。結果がどうであれ、出願だけは確実に済ませてください。

よくある質問

Q. 2026年度マッチングの希望順位登録はいつからいつまでですか?

2026年9月10日(木)14時から、10月8日(木)14時までです。9月24日(木)14時に中間公表前の締切があり、9月25日(金)14時に中間公表が行われます。組み合わせ結果の発表は10月22日(木)14時です。

Q. 人気病院を第1希望にすると不利になりますか?

なりません。マッチングは参加者の希望が優先されるアルゴリズムを採用しており、第1希望で外れても第2希望以降で不利に扱われることはありません。順位を戦略的に下げても得はなく、本命に行ける可能性を失うだけです。

Q. 希望順位は何位まで登録すべきですか?

選考を受けた病院のうち、入職してもよいと思えるプログラムをすべて登録するのが基本です。登録数が多いほどアンマッチの可能性は下がりますが、行く気のない病院を「保険」で入れると、そこにマッチしてしまう可能性があります。

Q. 中間公表を見て順位を変えるべきですか?

上位の順位は変えるべきではありません。中間公表は9月24日時点で各プログラムを第1希望に登録している人数を示すもので、最終的な倍率ではありません。最終締切まで登録・変更が可能なため、数字は動きます。

Q. 中間公表の後も希望順位は変更できますか?

できます。集計のために一時的に操作が停止されますが、再開後から10月8日14時の最終締切まで、何回でも登録・変更が可能です。

Q. 選考を受けていない病院を、あとから順位表に追加できますか?

できません。希望順位に登録できるのは、選考(採用試験)を受けた研修病院のプログラムに限られます。

Q. アンマッチだった場合はどうすればよいですか?

二次募集を行っている病院を自分で探し、速やかに連絡を取ることになります。10月22日の結果発表後、初動の速さが結果を左右します。あわせて、11月2日から始まる医師国家試験の出願手続きは必ず期限内に済ませてください。

Q. 広域連携型プログラムⅠとⅡの違いは何ですか?

研修する順序が異なります。Ⅰは1年目を大学病院、2年目を医師少数県の協力病院で研修します。2027年度から新設されるⅡは、1年目を協力病院、2年目を大学病院で研修する形式です。

おわりに

希望順位の登録は、駆け引きの場ではありません。制度そのものが「正直に希望を述べた人が最も良い結果になる」ように設計されています。だからこそ、難しいのは戦略ではなく、自分が本当はどこに行きたいのかを自分で認めることのほうです。

周囲の動向、同級生の会話、中間公表の数字。9月から10月にかけて、判断を鈍らせる材料はいくらでも入ってきます。順位表を作るときは、それらを一度すべて脇に置いて、見学で自分が何を感じたかに戻ってください。

MediEは「教えない、導く。」をモットーに、医学部の進級対策・CBT・医師国家試験対策を専門とする個別指導塾です。マッチングと国試対策、そして卒業試験が重なるこの秋を、どう配分して乗り切るか。一人で抱え込む前に、一度ご相談ください。

無料相談はこちらから

本記事は2026年8月時点で医師臨床研修マッチング協議会が公表しているスケジュールに基づいて作成しています。日程・手続きは変更される場合があるため、最新かつ正確な情報は必ず協議会の公式サイトでご確認ください。

コース一覧