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医学部6年生 1年間のスケジュールは? 実習や試験対策についても紹介

目次

医学部6年生は、重要なイベントが連続し、非常に忙しい時期です。この記事では、各イベントを時系列的に整理して一般的なスケジュールを提示しています。
併せて、Post CC OSCE・卒業試験・マッチングについても対応策を解説します。本記事を参考に6年生のスケジュール感を具体的にイメージし、国家試験への備えとしてください。

医学部6年生の1年間のスケジュール

医学部6年生の目標は、卒業試験や医師国家試験に合格することです。また、この期間に卒業後、研修医として現場に出られるよう準備しておくことも大切です。
学生が医師国家試験(以下:国試)を受験するには、一般的に卒業を大学から許可されている状態(卒業見込み)になっていなくてはなりません。6年目はそれに向けて多数のレポート・実習をこなしていくことになります。なお、各大学が課す卒業試験の内容は、国試の内容と多くの部分で共通していることが多いので、卒業試験突破を目指すことが自ずと国試対策にもなります

もちろん、カリキュラムの組み方は各大学によって少なからず異なり、また、国立大か私立大かによっても組まれ方に差が生じます。例えば、私立では社会医学についての単位を設けたり、独自の研修を実施したりしているケースもあります。
ただ、どの大学でも一般的には「学生に適切な知識を与えて卒業させ、国試にも合格させること」を目的にカリキュラムを組む傾向があります。具体的には、2月の国試本番から逆算するようにカリキュラムが組まれます。
この大学側のカリキュラムに沿って、学生側も自分の生活・学習スケジュールを組み立てることになります。本記事では、一般的なスケジュールについて解説します。

おおまかには、「2月の国試合格を最終目標として、5つの重要イベントをこなしていくもの」として、6年生のスケジュールは整理可能です。各イベントの詳細は後述します。

  1. 臨床実習(ポリクリ):4年・5年生から、6年生の夏頃まで継続。
  2. Post CC OSCE:臨床実習後に行われる実技試験。7月~11月ごろの期間に行われる。
  3. マッチング:就職活動という意味合いの強いイベント。卒業後に研修医として受け入れてもらう病院を探す。10月下旬にマッチング成立・不成立が決定する。
  4. 卒業試験:筆記試験。9月~12月頃の期間に行われる。
  5. 国試本番:卒業見込みが決定した学生が受験する。毎年2月に実施される。

多くの大学では、2の実技試験を卒業試験の一環と見なします。つまり、学生は2としての実技試験、4としての筆記試験をともに合格することで、大学から「卒業試験に合格した」と認定され、国試受験へ進めるようになります。もちろん、これら試験への準備と並行しマッチング活動を進めておくことも重要です。

MediE医師講師 凛子 先生の実体験エピソード

試験対策と臨床実習で、6年生の時はとにかく大変でした。5年生の時は臨床実習が夜遅くまで行われたりと、1日中勉強していることが多かったのですが、6年生はそれに加えてイベントが多いです。特にマッチングは見学や面接もあるので、時間的にも精神的にもリソースを取られます。私はマッチング先に楽な病院を選びましたが、人によってはとても大変だったようです。

医学部6年生での5つの重要イベント

ここからは、先述した5つの重要イベントをそれぞれ詳しく解説します。

1. 医療現場での実践「臨床実習(ポリクリ・クリクラ)」

5年生から引き続き、6年生でも大学病院での臨床実習が行われます。
この間学生は数名で班を組み、大学病院内のすべての診療科を経験して回ります。1科につき2~3週間かけるため、すべての実習が終わるのは6年生の夏頃です。

実習では、各診療科内で実際の職員たちとチームを組んでコミュニケーションをとりながら、予診や診断確定プロセスに携わります。これを経て、現場で必要な能力や社会性を身に付けることが実習の最大の目的です。当然患者さんとも接し、症状だけではなく「患者がどのような状況・環境に身を置いているのか」を読み取ることで、適切な治療を組み立てる訓練を行います。なお一般に、各診療科実習について、それぞれレポートの提出が求められます。

臨床実習時のスケジュール

実習時の1日のスケジュール例を紹介します。基本的には、朝のカンファレンスに始まり、実習を経て15~17時頃に終わります。終了後は各自レポート作成・試験対策・マッチング活動などを行います。
また日によっては、各診療科の医師などによって座学が開かれることもあります。講義時間は一般に数十分ほどですが、より実践的な国試・卒業試験対策になる内容が詰まっています。

2. 臨床能力を測る実技試験「Post CC OSCE(PCC OSCE)」

Post CC OSCE(以下:PCC OSCE)は、2020年から日本の医学部で導入された共用試験です。「臨床実習(ポリクリ)を通して確かな実技を身に付けたか」を検証します。この試験は卒業試験の一環という性格も持っており、合格しなくては卒業できません
一般には、「6年生がポリクリを終える7月頃」を目安に試験が開始されます。受験者の診察・診断力から報告の正確さまで、総合的に評価されます。

PCC OSCEの概要・試験の流れ

PCC OSCEでは、公益社団法人の共用試験実施機構(CATO)と各大学とによって審査されます。原則としてCATOによる問題3問(各大学で共通)、各大学で独自に用意する問題3問、の計6問構成です。CATOによる共通問題では、「患者(役)を迎え入れ医療面接・診察を行う」(12分)・「臨床推論を行い、上級医へ報告する」(4分)というプロセスを評価者の前で実演します。

PCC OSCE対策のポイント

共通問題は「医療面接・身体診察・上級医への報告」の3要素別に評価される、と理解すると対策がしやすくなります。対策の基軸となるのは、CATOが2020年のガイドブックで提示した37症候についての臨床推論で、ここの知識を固めておくことが大切です。
(参照元:臨床研修開始時に必要とされる技能と態度に関する学修・評価項目(第1.1版)

限られた制限時間の中で症候を明確に把握し、カテゴリを特定、鑑別疾患へ推論を狭め、よどみなく報告を完結させなくてはなりません。そのためには、「各症状の患者に応じて、質問すべき事柄・得るべき回答内容・報告に盛り込むべき情報」を明確に頭に入れておくことが重要です。知識の暗記はもちろん、友人とのロールプレイを繰り返すなどし、12分の「面接・診察」後に4分の「推論・報告」を行う、というリズムにも十分に慣れておきましょう。
なお大学の独自問題については、各大学からの事前説明をよく聞き、それに沿って対策してください。

詳しくは以下の記事も参照してください。

https://medie.site/2610/

3. 医学生の就職活動「マッチング」

マッチングは、卒業後に研修医として迎えてくれる病院を探す活動で、「医学生の就職活動」とも認識されています。
ポリクリとPCC OSCEが6年生前期だとすると、中期に差し掛かるタイミング(6月頃)で本格化するイベントが、このマッチングです。とは言っても通常、4~5年生の内からマッチングの準備は入念に行っておかなくてはなりません。6年生の6月~10月下旬にかけては、その成果を実現させる運びになります。

マッチングの流れ

4~5年生に、イベント・病院見学への参加や、病院への資料請求などを通して、希望病院・希望研修プログラムの情報を集め、具体的な希望所属先を絞り込んでおきます。6年生の6月頃に大学からオンライン手続き用のIDが渡され、8月頃に専用サイトで自分の希望病院・研修プログラムを登録します。基本的には希望先を多く登録しておいた方がマッチングしやすいですが、第一希望から第三希望は必ずよく選定して、本当に行きたい病院を書くようにしてください

病院側は登録してきた学生を選考し、迎え入れたい学生の優先度リストを同専用サイトに登録します。これにより、学生側の希望と、病院側の優先度との間で、マッチング成立・不成立が決定します。
なお、9月下旬頃に行われる中間公表により、研修プログラムごとの競争率がある程度は把握可能です。これを踏まえて10月中旬頃に本登録を行い、最終結果は10月下旬に発表されます。

希望病院側に自分のことをあらかじめよく認識してもらっていれば、それだけ優先度上位にリストアップしてもらいやすくなると期待できます。そのため、5年生の段階から早めに病院見学などに参加し、病院とコンタクトしておくことが効果的です。実際、7割以上の6年生は5年生時に所属希望先の病院を決めており、「6年生に上がってから完全に新規でマッチング活動を始める」という学生は、2割強しかいません。

マッチングについては以下の記事も参照してください。

https://medie.site/2553/

https://medie.site/3269/

加えて、マッチング活動内での疑問に答える動画もありますので参考にしてみてください。
【医学生】マッチングの面接どう答える?【前編】
【医学生】マッチングの面接どう答える?【後編】

4. 6年間の集大成「卒業試験」

卒業試験は多くの場合、1~3ヶ月かけて行われます。9月中に開始され12月中に終わることが多く、不合格者への追試も行われます。大学によっては6月から始めるところもあるため、事前に確認のうえ、余裕をもって準備をしておきましょう。

試験内容も大学によりますが、基本的には科目数が非常に多いのが特徴です。ときには国試よりも専門性が高く、難易度の高い問題が出題されることも少なくありません。なお、卒業試験を設けていない大学も存在します。

卒業試験に向けた勉強のポイント

難易度は高いですが基本的には筆記試験であるため、PCC OSCEのような特殊な対策は必要なく、「時間が許す限り過去問を解く」などオーソックスな勉強に集中することが大切です。

過去問は直近3年分をそろえて取り組むといいでしょう。併せて、今までの講義などで使用した教材やノートを何度も復習し、知識を徹底整理します。
また、試験期間はマッチング活動と重なるケースが多いので、自身の体調・メンタルの管理にも気を付けてください。特にマッチングがうまくいかなかった場合は、即座に気持ちを切り替えて、二次マッチングへの応募と試験勉強に集中することが重要です。

勉強法については以下の記事でも詳しく紹介しています。参考にしてください。

https://medie.site/3406/

MediE医師講師 凛子 先生のワンポイントアドバイス

医学部を卒業した先輩としてアドバイスを言うなら、6年生は卒業試験の勉強に専念した方がいいです。卒業試験の内容には、国家試験の内容が含まれていることが多いです。そのため、卒業試験の勉強をすることが、結果的に国家試験の対策にもなります。勉強に専念するためにも、マッチングは楽な病院を選ぶ、あるいは5年生の時点で病院に目星をつけて見学しておくなど、前もった準備が必要です。

各イベントで忙しい6年生は、いかに集中力を持続させるかがポイントです。息抜きを取り入れることも大切ですが、勉強時間と自由時間をしっかり区切れるものにしましょう。

5. 卒業試験に合格したら「医師国家試験」へ

PCC OSCEと卒業試験に無事に合格すれば、次に国試に挑戦します。国試は通常2月中に2日間開催されます。難易度としては卒業試験と同等、またはそれより少し易しい程度といわれ、合格率は毎年9割近くに上ります。
ただし、油断は禁物です。卒業試験が数ヶ月に及ぶのに対して、国試は2日間しかなく、広範な内容から問われる試験を短期間で解答するため出題範囲を絞ることは難しいです。内容としては、臨床現場を想定した問題だけではなく、法律・統計に関する確かな思考力を問う問題も出題されます。
基本的には、先述の通り、卒業試験対策を徹底して行うことが、国試対策にもなります。したがって、卒業試験合格後も継続して広い範囲の勉強を怠らないことが大切です。

より詳しくは以下の記事も参考にしてください。

https://medie.site/3128/

まとめ

医学部6年生のスケジュールは、各大学で詳細は違っても基本的に非常に忙しいものになります。臨床実習・実技試験(PCC OSCE)・筆記による卒業試験・国家試験と連続していく重要なイベントを、すべて乗り越える必要があるからです。加えて、マッチングも進めなくてはなりません。本記事を参考に、早めにしっかりと自分のスケジュールを立てましょう。

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