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【8月に流行入り】異例のインフルエンザ早期流行、医学生が今知っておくべきこと|実習・国試・ワクチン

本記事の監修者

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水木 泰祐 (Dr.みずき)

東邦大学医学部卒。浪人・留年・国試浪人を経て、医学教育の革新に挑む。
「4浪4留2国浪」という異色の経歴を持ち、医学部入学から医師国家試験合格までに数多くの困難を経験。その過程で得た知見と反省を活かし、同じように悩む医学生を支援するため、医師国家試験個別指導塾「MediE(メディエ)」を設立。「教えない、導く。」をモットーに、コーチング・メンタリング・コンサルティングを融合させた独自の指導法を展開している。
MediEでは、個別最適化された学習支援を通じて、留年・放校・国試不合格のリスクを抱える医学生の自学自習力を育成。また、YouTubeチャンネルやSNSを活用し、医学教育の在り方そのものに変革をもたらす活動も積極的に行っている。

目次

2026年のインフルエンザは、例年より3か月ほど早く動き出しました。厚生労働省の発表によると、全国の定点当たり報告数は8月17日〜23日の週に1.11人となって流行の目安である1.0人を超え、9月14日〜20日の週には8.48人まで増加。沖縄県では26.27人と警報レベルに迫り、東京都・愛知県・神奈川県・千葉県など9都県で注意報基準の10人を超えています。

「夏が終わったばかりなのにインフルエンザ?」と感じた人も多いはずです。ただ、医学生にとってこのニュースは、ただの季節の話題ではありません。病院実習の現場で最初に向き合う感染症であり、国家試験で毎年問われるテーマであり、そして2月の本番当日に自分自身が罹患するリスクでもあります。

この記事では、今回の早期流行で何が起きているのかを整理したうえで、実習・国試対策・本番の体調管理という3つの視点から、医学生が今知っておくべきことをまとめます。

2026年のインフルエンザ早期流行で起きていること

流行入りは8月下旬、1999年以降で2番目の早さ

全国の定点当たり報告数は、7月下旬の0.24人から週を追うごとに増え、8月17日〜23日(第34週)に1.11人となって流行入りの目安を超えました。現在の調査方式になった1999年以降では、新型インフルエンザが世界的に流行した2009年に次いで2番目に早い流行入りです。前年の同じ週は0.31人でしたから、まったく違う立ち上がり方をしています。

その後も増加は止まらず、第38週(9月14日〜20日)には8.48人、報告数は全国で31,428件。休校19校、学年閉鎖171校、学級閉鎖870校と、あわせて1,060施設が休業しました。9月の時点でこの規模の学級閉鎖が出るのは異例です。

主流はA(H1N1)pdm09

流行の中心はA型のうちA(H1N1)pdm09です。2009年に新型インフルエンザとして登場し、その後は季節性として定着した株ですが、今回は香港・台湾でも同時期に流行が拡大しており、新潟大学の解説によれば香港では亜型が判定された株の約85%、台湾では79.4%をH1N1が占めています。

早期流行の背景としては、東アジアでの流行が夏休みの人の移動で持ち込まれたこと、ウイルスのHA遺伝子に変化が生じてワクチンの効果が下がっている可能性があること、9月の学校再開で接触機会が増えたことなどが指摘されています。単一の原因ではなく、複数の要因が重なったと考えられています。

「去年かかったから大丈夫」は通用しない

注意したいのは、前シーズンに感染した人でも再感染しうるという点です。ウイルスの抗原性が変化していれば、以前の感染で得た免疫が十分に働かないことがあります。またA(H1N1)pdm09は他の季節性株に比べてウイルス性肺炎を起こしやすいとされており、若年層でも重症化例が報告される株です。「若いから軽く済む」と決めつけないでください。

視点1:病院実習中の医学生がやるべきこと

実習先の院内ルールを最初に確認する

5年生・6年生で病院実習に出ている人は、まず実習先の感染対策マニュアルで、インフルエンザ流行期の対応を確認してください。発熱時の報告先、出勤停止の基準、マスク着用の範囲、病棟への立ち入り制限は病院ごとに異なります。とくに小児科・呼吸器内科・血液内科・高齢者病棟などは、学生が感染源になった場合の影響が大きい部署です。

実習中に発熱した場合は、自己判断で「軽いから行く」を選ばないこと。患者さんを守るための欠席は、実習態度としてマイナスにはなりません。多くの大学が、医学生についても学校保健安全法に準じて「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで」を出席停止の目安にしています。

標準予防策を「知っている」から「できている」へ

手指衛生、サージカルマスクの正しい着脱、咳エチケットは、CBTでもOSCEでも学んだはずです。ただ、流行期の実習は、それを毎日の動作として身につける機会でもあります。患者接触の前後で手指消毒をしているか、マスクの外側に触れていないか、実習の合間に自分の手の動きを一度チェックしてみてください。

視点2:国試対策として押さえるインフルエンザの論点

インフルエンザは、感染症の各論としても、公衆衛生の制度問題としても、医師国家試験で繰り返し出題されるテーマです。今年は「流行しているから」ではなく、「知識を整理する良いきっかけだから」という意味で、この機会に一度まとめておきましょう。

感染症法上の位置づけと定点報告

季節性インフルエンザは感染症法で5類感染症に分類され、全数把握ではなく定点把握の対象です。全国約5,000か所の小児科・内科の定点医療機関から週ごとに報告され、「定点当たり報告数」として公表されます。流行入りの目安が1.0人、注意報の基準が10人、警報の基準が30人という数字は、今回のニュースを読むうえでも国試の選択肢を切るうえでも必須です。

なお、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)は2類、新型インフルエンザ等感染症は別の枠組みで扱われます。「インフルエンザ」という一語で分類を答えさせる問題は、この区別を問うているケースが多いので注意してください。

診断:迅速抗原検査の限界

臨床では鼻咽頭ぬぐい液を用いた迅速抗原検査が広く使われますが、発症から12時間以内はウイルス量が少なく偽陰性になりやすいことを覚えておいてください。「検査が陰性だったから否定できる」とは限らない、というのは国試でも臨床でも同じです。流行期に典型的な症状(急な高熱、関節痛、倦怠感)があれば、検査結果にかかわらず臨床診断で治療を始める判断も一般的です。

治療:抗インフルエンザ薬の種類と使い分け

抗インフルエンザ薬は大きく2系統に分けられます。ひとつはノイラミニダーゼ阻害薬で、内服のオセルタミビル、吸入のザナミビルとラニナミビル、点滴静注のペラミビルがあります。もうひとつはキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬のバロキサビル マルボキシルで、単回内服で治療が完結します。いずれも発症48時間以内の投与で効果が期待でき、重症例や入院例では48時間を過ぎても投与を検討します。

国試では「吸入ができない乳幼児や高齢者にどれを選ぶか」「経口摂取できない入院患者にどれを選ぶか」「妊婦に使えるか」といった形で、剤形と患者背景の組み合わせが問われます。薬の名前だけでなく、剤形と投与回数をセットで整理しておきましょう。

予防:ワクチンと出席停止の基準

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、発症予防よりも重症化予防が主な目的です。効果は接種後およそ2週間で現れ、5か月程度持続するとされます。2026/27シーズンの製造株は、A(H1N1)がA/スイス/6849/2025、A(H3N2)がA/ミシガン/105/2025、B型がB/東京/EIS13-175/2025(ビクトリア系統)の3株です。

学校保健安全法施行規則における出席停止期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」。「発症後」と「解熱後」の両方の条件を満たす必要がある点が問われます。

視点3:2月の国試当日に罹患しないために

ワクチンは10月中に打っておく

第121回医師国家試験は2027年2月6日・7日です。ワクチンの効果が接種2週後から5か月程度続くことを考えると、10月中に接種すれば試験当日をカバーできます。例年なら「11月でも間に合う」と言われますが、今年はすでに流行が本格化しているため、接種を先延ばしにする理由はありません。前述のとおり今シーズンはワクチンとの抗原性のずれが指摘されていますが、それでも重症化を防ぐ効果は期待できます。大学の集団接種がある場合はそれを、なければ近くの内科で早めに予約してください。

医師国家試験に追試験はない

当たり前のことですが、あらためて確認しておきます。医師国家試験は年1回で、体調不良による追試験の制度はありません。試験当日にインフルエンザを発症した場合、受験そのものを諦めるか、高熱のまま2日間の試験に臨むかの選択になります。1年間の勉強を一度の感染で無駄にしないために、試験前の2週間は、感染対策を勉強と同じ優先度で扱ってください。人混みを避ける、外食を控える、家族にもマスクと手洗いを徹底してもらう。これは神経質ではなく、合理的な判断です。

今からできる生活習慣

流行期の感染リスクを下げる基本は、手洗い、マスク、換気、そして睡眠です。睡眠不足は免疫機能を落とし、感染しやすくなるだけでなく、勉強の定着率も下げます。深夜まで詰め込んで翌日に発熱するより、決まった時間に寝て翌日も机に向かえるほうが、合計の勉強時間は確実に多くなります。

インフルエンザ早期流行に関するよくある質問

Q. 2026年のインフルエンザはいつ流行入りしましたか?

2026年8月17日〜23日(第34週)に全国の定点当たり報告数が1.11人となり、流行の目安である1.0人を超えました。1999年以降では2009年に次いで2番目に早い流行入りです。9月14日〜20日(第38週)には8.48人まで増加しています。

Q. 今シーズンの主流の型は何ですか?

A型のA(H1N1)pdm09が主流です。香港・台湾でも同時期に同じ亜型が流行しており、日本国内でも沖縄県を中心に検出されています。

Q. 前のシーズンにインフルエンザにかかりました。今年もかかりますか?

かかる可能性があります。ウイルスの抗原性が変化している場合、以前の感染で得た免疫が十分に働かないことがあります。前シーズンの罹患歴にかかわらず、ワクチン接種と基本的な感染対策をおすすめします。

Q. 国試を受ける6年生は、ワクチンをいつ打てばいいですか?

10月中の接種をおすすめします。効果は接種のおよそ2週間後から5か月程度続くとされ、10月に接種すれば2027年2月6日・7日の第121回医師国家試験をカバーできます。今年は流行がすでに本格化しているため、例年より早めの接種が合理的です。

Q. 実習中に発熱したらどうすればいいですか?

自己判断で実習に行かず、まず実習先の指示に従って報告してください。多くの大学では、学校保健安全法に準じて「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで」を出席停止の目安としています。患者さんを守るための欠席は、実習評価でマイナスにはなりません。

Q. 国試で出題されるインフルエンザの論点は何ですか?

感染症法上の分類(季節性は5類・定点把握)、定点当たり報告数の基準(流行入り1.0、注意報10、警報30)、迅速抗原検査の偽陰性、抗インフルエンザ薬の種類と剤形・投与時期(発症48時間以内)、ワクチンの性質(不活化)、学校保健安全法の出席停止期間が主な論点です。

まとめ:今年の流行は「他人事」ではなく「自分の試験の話」

2026年のインフルエンザは8月下旬に流行入りし、9月の時点で全国の定点当たり報告数が8.48人、9都県で注意報基準を超えるという異例の早さで拡大しています。主流はA(H1N1)pdm09で、前シーズンの罹患歴があっても再感染しうる状況です。

医学生にとっては、実習で患者さんを守る責任、国試で問われる知識、そして2月の本番を万全の体調で迎えるための自己管理という3つが同時にかかっています。ワクチンは10月中に、感染対策は勉強と同じ優先度で。このふたつを今週のうちに決めておいてください。

MediEでは、国試までの残り期間を体調管理も含めてどう組み立てるか、受験生一人ひとりの状況に合わせて一緒に考えています。学習計画の相談は公式LINEからお気軽にどうぞ。

流行状況の最新データは厚生労働省「インフルエンザに関する報道発表資料」で毎週更新されています。実習先や大学の指示がある場合は、そちらを優先してください。

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