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Post-CC OSCE 練習用シート 20歳男性

本記事の監修者

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水木 泰祐 (Dr.みずき)

東邦大学医学部卒。浪人・留年・国試浪人を経て、医学教育の革新に挑む。
「4浪4留2国浪」という異色の経歴を持ち、医学部入学から医師国家試験合格までに数多くの困難を経験。その過程で得た知見と反省を活かし、同じように悩む医学生を支援するため、医師国家試験個別指導塾「MediE(メディエ)」を設立。「教えない、導く。」をモットーに、コーチング・メンタリング・コンサルティングを融合させた独自の指導法を展開している。
MediEでは、個別最適化された学習支援を通じて、留年・放校・国試不合格のリスクを抱える医学生の自学自習力を育成。また、YouTubeチャンネルやSNSを活用し、医学教育の在り方そのものに変革をもたらす活動も積極的に行っている。

目次

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課題シート

【課題シート 1】
あなたは初期研修医です。外来にやってきた以下の患者さんを診察してください。
〇〇△△さん  20 歳 男性
主訴:胸痛

【課題シート 2】
身体所見は以下の通りです。追加の診察を行なってください。
意識は清明。身長 184cm、体重 60kg。体温 36.8℃。脈拍 70/分、整。血圧 116/88mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 97%。

【課題シート 3】
指導医にこの患者について報告してください。

 

患者役用シート

O(onset 発症様式):昨日の夕方にジョギングしていたところ左胸の痛みに気づいた。今日も痛みが続くので来院。
P(palliative/provocative 増悪・寛解因子):深呼吸すると痛みが増悪
Q(quality/quantity 症状の性質・ひどさ): ずきずきする。痛みは我慢できる程度で動けないほどではない。
R(region/radiation 場所・放散の有無):肺尖部
S(severity/associated symptom 程度・随伴症状):痛みは我慢できる程度で動けないほどではない。痛みと同時期から咳がでるようになった。
T(time course 時間経過):昨日の夕方から
P(past medical history 既往歴):とくになし
A(allergies アレルギー):とくになし
M(medication 服薬歴):とくになし
H(hospitalization 入院歴・手術歴):入院・手術はしたことがない。輸血歴なし
U(urinary 排尿):変化なし
G(gastrointestinal 消化器症状・排便・食欲・体重変化):便秘、下痢、血便なし。食欲は変わらない。体重変化なし
S(sleep 睡眠):変わりはない
F(family 家族歴):特記事項なし
O(OB/GYN 妊娠歴・月経歴):―
S(social history 喫煙歴・飲酒歴・職業・趣味・渡航歴・ストレスなど):
飲酒:まだあまり飲めません
喫煙:なし
職業:学生
S(sexual history 性的活動):―
解釈モデル:一晩たてば治るかと思ったけどまだ痛いから何なんだろうという気持ち。健診で BMI 低いと言われた。
現 症:眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。
心音は異常所見なし、呼吸音は左胸部で呼吸音が減弱している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。橈骨動脈の触知は良好で左右差を認めない。足背動脈の触知は良好で左右差を認めない。(緊張性気胸の否定)下腿浮腫を認めない。
その他身体診察で得られる所見はない。

想定疾患:自然気胸

鑑別疾患:緊張性気胸、大動脈解離(痛みの移動を聞くこと)、急性心筋梗塞(家族歴や放散痛を聞くこと)

検査:心電図、胸部レントゲン、心筋逸脱酵素

上記検査で異常所見が得られなかったら胸部造影CTも追加で行いたい。

 

ポイント

まずは何よりも性別・年齢・主訴。この方は若年男性で胸痛。

そして高身長で低体重というところに着目でしょう。184cmで体重が60kgということでBMIは17.7と低いですね。この時点で自然気胸を思い浮かべながら進めてしまって良いでしょう。その上で、胸痛で起こるクリティカルな疾患を除外していければOKです。

急性冠症候群・大動脈解離・肺塞栓症・緊張性気胸

胸痛で起こる見逃してはいけない疾患としては急性冠症候群・大動脈解離・肺塞栓症・緊張性気胸が挙げられます。

これらを診断・除外するためのOPPQRSTをきちんと聴取していきましょう。ここで自然気胸でないなと感じたらシフトしていけば良いと思います。

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