「医学部に入りさえすれば、もう安心だ」
多くの人がそう思っていますよね。だって、医師国家試験の合格率は毎年90%を超えていますから。確かに、この数字だけを見れば、まるでゴールテープが見えているかのように感じられるかもしれません。しかし、私はあえて言います。その安心感、ちょっと待ってください。
医学部の本当の難しさは、入学試験の先、つまり「進級」と「卒業」の壁にあるのです。今回の記事では、データに基づき、「どの大学なら6年間でストレートに医師になれるのか」という、リアルな現実を、ランキング形式でお届けします。
「国試合格率90%」の裏側にある、厳しい現実
なぜ、医学部に入った後の話をする必要があるのでしょうか?それは、冒頭で触れた「国試合格率90%」という数字のトリックを知ってほしいからです。
この数字は、実は「6年間の進級卒業試験をすべて突破した学生」だけを母数にして算出されています。裏を返せば、途中で留年したり、卒業試験で足止めを食らった学生は、この華々しい数字には含まれていないということ。残酷ですが、これが現実です。
医学部の「進級の壁」が年々高くなっている理由
昔の医学部と今の医学部では、進級の難易度が格段に違います。私の知る現役医学生たちも口を揃えて言いますが、「進級の壁」はかつてないほど高くなっているようですね。
その背景には、主に3つの要因が絡み合っています。
- 膨大な情報量と科目数
医学部では、1年生のうちから専門科目が始まります。しかも、多くの大学で「1科目でも不合格なら即留年」という厳しいルールが適用されています。覚える情報が多すぎて、まるで洪水に飲み込まれるような感覚だと言います。 - CBT・OSCEの基準引き上げ
共用試験であるCBT(知識試験)やOSCE(実技試験)の合格基準が年々厳しくなっています。以前のように過去問中心の直前対策だけでは、もう通用しません。大学側も、学生に確かな実力を求めるようになっているのですね。 - 大学ごとの「情報戦」
これが一番厄介かもしれません。大学によって、試験の難易度、評価基準、「どの学年で留年が出やすいか」といった情報が全く違います。正確な情報を持っているかどうかが、進級率を大きく左右する「情報格差」が生まれているのです。
つまり、「真面目に勉強しているだけ」では突破できない。それが、今の医学部のリアルな姿なのです。
私立医学部では4人に1人がストレート卒業できない?
では、具体的な数字を見てみましょう。各種公開データをもとに、ストレートで6年間を走り抜ける学生の割合を整理してみました。
- 国公立医学部:ストレート卒業率 約84〜87%
- 私立医学部:ストレート卒業率 約77%前後
特に私立医学部では、約4人に1人が留年や進級失敗を経験している計算になります。この数字、正直、驚きませんか?受験生の皆さんが目指す場所は、入学がゴールではなく、むしろそこからが本当のサバイバルだと知っておくべきでしょう。
データが語る!6年で医師になれる確率が高い大学ランキングTOP10(2026年版)
さて、いよいよ本題です。私たちは、単なる「卒業率」だけでなく、以下の3つの要素を掛け合わせて、真にストレートで医師になれる可能性が高い大学を算出しました。
- 進級率(6年次進級率)
- 卒業率(ストレート卒業率)
- 国試合格率(新卒者)
この3つを掛け合わせた数字こそが、「入学から6年で医師免許を取得できる確率」です。この確率が高い大学こそが、最も安心して学べる環境を提供していると言えるでしょう。最新のデータに基づいたランキングを見ていきましょう。
| 順位 | 大学名 | 進級率 | 卒業率 | 国試合格率 | 6年で医師になれる確率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金沢大学(国公立) | 99.1% | 97.4% | 100% | 97.40% |
| 2 | 自治医科大学(私立) | 97.6% | 97.6% | 99.3% | 96.92% |
| 3 | 鹿児島大学(国公立) | 100% | 97.0% | 96.3% | 93.41% |
| 4 | 三重大学(国公立) | 94.4% | 92.8% | 100% | 92.80% |
| 5 | 大阪公立大学(国公立) | 93.6% | 93.6% | 99.0% | 92.66% |
| 6 | 順天堂大学(私立) | 96.5% | 93.6% | 97.8% | 91.54% |
| 7 | 横浜市立大学(国公立) | 92.2% | 92.2% | 98.8% | 91.09% |
| 8 | 東京大学(国公立) | 95.5% | 93.6% | 97.2% | 90.98% |
| 9 | 名古屋市立大学(国公立) | 95.8% | 95.8% | 94.9% | 90.91% |
| 10 | 千葉大学(国公立) | 92.6% | 92.6% | 97.6% | 90.38% |
ランキングから見えてくる意外な事実
このランキングを見て、皆さんはどう感じましたか?
まず注目すべきは、金沢大学の97.40%という驚異的な数字です。ストレート卒業率が97.4%でありながら、国試合格率が100%という完璧な実績。これは、大学が学生を徹底的にサポートし、確実に医師として送り出している証拠でしょう。
そして、私立大学で唯一TOP10に食い込んでいるのが、自治医科大学(2位)と順天堂大学(6位)です。特に自治医科大学は、地域医療への貢献という使命感からか、学生へのサポート体制が非常に手厚いことで知られています。順天堂大学も、私立の中でもトップクラスの進級卒業実績を誇っていますね。
さらに、東京大学が8位にランクインしていますが、進級率卒業率ともに90%台をキープしています。東大医学部は「進級が厳しい」という噂もありますが、データを見る限り、優秀な学生たちがしっかりと結果を出していることがわかります。
国公立医学部と私立医学部の「ストレート卒業率」を比較する
もう少し視野を広げて、国公立と私立の全体的な傾向を見てみましょう。参考データから、いくつかの大学のストレート卒業率をピックアップします。
国公立大学のストレート卒業率(一部抜粋)
国公立大学は、全体的に高い卒業率を維持しています。
- 岡山大学:99.1%
- 金沢大学:97.4%
- 神戸大学:97.4%
- 三重大学:96.8%
- 京都大学:94.5%
ストレート卒業率が90%を切る大学も一部ありますが、多くが80%台後半から90%台をキープしています。国公立は、学費が安いだけでなく、教育の質と進級サポートのバランスが良い傾向にあると言えるでしょう。
私立大学のストレート卒業率
私立大学は、大学間のばらつきが大きいのが特徴です。平均値は77%前後ですが、中には80%を大きく超える大学もあれば、70%を切る大学もあります。
例えば、自治医科大学や順天堂大学のように90%台を誇る大学がある一方で、データ上では卒業率が低い大学も存在します。これは、私立大学が独自の教育方針や進級基準を持っているためです。受験生や保護者の方は、志望校の「ストレート卒業率」を必ずチェックすべきです。
入学試験の難易度と、進級の難易度は必ずしも一致しません。偏差値が高いからといって、進級が楽なわけではないのです。むしろ、進級判定が厳しい大学ほど、卒業後の医師としての質が高い、という見方もできます。
留年を避けてストレートで医師になるための3つの戦略
では、志望校選びの参考にするだけでなく、実際に医学部に入学した後、どうすれば留年という事態を避け、6年間で医師になれるのでしょうか?
私の経験と、多くの医学生から聞いた話をもとに、重要な3つの戦略をお伝えします。
1. 「情報戦」を制する:過去問と再試情報を徹底収集
医学部の進級は、勉強量だけでなく「情報」が命です。大学ごとに「試験の傾向」や「再試験の基準」が異なります。
- 過去問の徹底分析:単に過去問を解くだけでなく、「この教授はどこを重視するか」「出題形式に変化はないか」を分析します。
- 上級生との連携:サークルや部活を通じて、信頼できる上級生から最新の情報を得ることは必須。特に「留年が出やすい学年」や「鬼門の科目」は、事前に把握しておくべきです。
2. 計画的な学習スケジュールを立てる
医学部の勉強は、マラソンです。短期的な詰め込み学習ではすぐに限界が来ます。特に、CBTやOSCEといった共用試験が近づくと、膨大な範囲をカバーしなければなりません。
1年次から専門科目の基礎を固め、試験前に慌てないよう、綿密な学習計画を立てましょう。試験範囲を細分化し、毎日少しずつ進める習慣が、長い目で見れば最大の武器になります。
3. 早期に専門家の力を借りる
もし、特定の科目が苦手だと感じたり、進級に不安を覚え始めたら、迷わず専門家の力を借りるべきです。医学部専門の個別指導塾や予備校は、単に知識を教えるだけでなく、その大学特有の進級対策や試験対策に精通しています。
「自分一人で何とかしなきゃ」と抱え込む必要はありません。留年して余計な時間と費用をかけるより、早期に投資をしてストレート卒業を確実にする方が、賢明な選択だと思いませんか。
まとめ
医学部受験は、人生をかけた大きな挑戦です。しかし、その挑戦は入学で終わりではありません。むしろ、6年間で医師になるためのサバイバルが始まるのです。
今回のランキングで、皆さんが志望校を選ぶ際に、単なる偏差値や立地だけでなく、「6年で医師になれる確率」という、もう一つの重要な視点を持つきっかけになれば幸いです。
最後に、今回の記事の重要なポイントをまとめておきましょう。
- 医師国家試験の合格率は、進級を突破した学生だけの数字である。
- 私立医学部では、約4人に1人がストレート卒業できていない現実がある。
- 「6年で医師になれる確率」は、進級率、卒業率、国試合格率の全てを考慮すべき。
- 金沢大学、自治医科大学、鹿児島大学などが、高い確率を誇っている。
- 入学後は「情報戦」を制し、計画的な学習と早期のサポート利用がストレート卒業の鍵となる。
皆さんが無事に6年間を走り抜き、夢を叶えることを心から応援しています。