こんにちは。医学部進級・医師国家試験対策の個別指導塾 MediE(メディエ) です。
秋は、国試対策において最も差がつく季節です。夏はまだ「これから頑張る」で許されます。冬になれば、誰でも必死になります。その中間にある9月から11月にかけての3か月間、何を、どの順番でやったか。ここが2月の結果をかなりの部分まで決めています。
ただし、「秋にやるべきこと」は立場によってまったく違います。卒業試験を抱える6年生、所属という後ろ盾がない既卒生、CBTを終えたばかりで長い助走に入る学生。同じ「国試対策」という言葉で括ると、必ずどこかで無理が出ます。
この記事では、第121回医師国家試験(2027年2月6日・7日)を軸に、3つの立場それぞれの秋からのスケジュールを整理します。
まず全員が共有すべき、第121回の確定スケジュール
厚生労働省は2026年7月1日、第121回医師国家試験の施行内容を公表しました。学習計画を立てる前に、この日付をカレンダーに入れてください。勉強の失敗より、手続きの失敗のほうが取り返しがつきません。
2026年10月1日(木):配慮事項申請の締切
視覚・聴覚・音声機能・言語機能に障害があり、受験にあたって配慮を希望する場合は、この日までに医師国家試験運営本部事務所へ「国家試験の受験に伴う配慮事項申請書」を提出する必要があります。出願期間より1か月早い、最初の締切です。該当する可能性がある人は、夏のうちに大学の担当窓口へ相談してください。
2026年10月中旬以降:受験手続書類の配布開始
受験願書を含む書類が配布されます。各大学で入手するほか、医師国家試験運営本部事務所または臨時事務所へ請求することもできます。
2026年11月2日(月)〜11月30日(月):出願期間
受験願書、写真を貼付した受験写真用台紙、返信用封筒、卒業証明書または卒業見込証明書などを提出します。郵送の場合は書留郵便を利用し、11月30日までの消印があるものに限り受け付けられます。受験手数料は15,300円で、収入印紙を受験願書に貼付します。
写真には「出願前6か月以内に撮影した縦6cm×横4cm」といった規定があり、不備があると受理されません。返信用封筒には所定サイズと590円分の切手、書留表示が必要です。締切日は年によって変わります。第120回は11月28日でした。「去年の先輩がこう言っていた」で動かず、必ず今年の告示で確認してください。
2027年1月上旬:受験票の発送(予定)
厚労省が公表しているのは「試験地」(都道府県)であり、具体的な試験会場は受験票で指定されます。会場を前提とした宿泊予約を早々に確定させるのは危険です。
2027年2月6日(土)・7日(日):本試験
2027年3月9日(火)14時:卒業証明書の提出期限
卒業見込で出願した人は、この期限までに卒業証明書を提出する必要があります。卒業試験に不合格になった場合、国試を受験していても資格が失われます。6年生にとって、卒業試験が国試と同格の関門である理由がここにあります。
2027年3月16日(火)14時:合格発表
6年生の秋:卒業試験と国試を、二重に走らせる
6年生の秋は、日本の医学教育の中でも屈指の過密期間です。マッチングの結果発表、卒業試験、国試の出願、そして直前期の学習が、わずか4か月に詰め込まれます。
9月:マッチングの決着と、学習の軸足の切り替え
9月11日に希望順位登録が始まり、10月9日に最終締切、10月22日に組み合わせが発表されます。この時期に最も多い失敗は、進路の思考に脳のリソースを取られて学習が止まることです。
対策はシンプルで、順位の検討を「日を決めて、その日に終わらせる」ことです。毎日少しずつ悩むのが最も高くつきます。学習面では、この時期に全範囲を一度は通し終えている状態を目指してください。まだマイナー科や公衆衛生に手つかずの領域があるなら、9月中に着手します。
10月:卒業試験のピークと、出願準備
多くの大学で卒業試験が本格化します。ここで重要な判断があります。卒業試験対策と国試対策を、どこまで一本化するかです。
大学の卒業試験が国試型(過去問ベース・5択・臨床問題中心)であれば、両者はほぼ一本化できます。一方、教授の専門領域に踏み込んだ独自問題が多い大学では、一本化は不可能です。後者の場合、卒業試験対策は「国試対策の時間を削って行う別作業」だと最初から割り切り、その分の時間を先に確保しておくほうが精神的にも安全です。
並行して、10月中旬以降に配布される受験手続書類を入手します。証明写真は「出願前6か月以内」の規定があるため、この時期に撮影するのが確実です。
11月:出願を終え、必修と公衆衛生に着手する
11月2日から30日の間に出願を完了させます。大学がまとめて手続きする場合でも、書類を揃えるのは自分です。
学習面では、この時期から必修対策と公衆衛生に本腰を入れます。理由は明確で、この2領域は「後回しにされやすく、かつ落ちる直接原因になりやすい」からです。必修は絶対基準(一般に8割)で判定され、禁忌肢という独自のリスクもあります。公衆衛生は暗記量が多く、直前に詰め込む人が多い一方、毎年確実に出題されます。
12月〜1月:模試の使い方が結果を分ける
冬の模試は、点数を見るための道具ではなく、失点の構造を見るための道具です。確認すべきは総合点ではなく、必修が基準を超えているか、どの領域で落としているか、そして「知らなかった」のか「知っていたのに間違えた」のかという内訳です。
後者、つまりケアレスミスや読み違いによる失点が多い人は、新しい知識を入れるより解答手順を整えるほうが伸びます。ここを混同して「まだ知識が足りない」と判断し、無限に講座を追加してしまうのが典型的な失速パターンです。
1月は原則として新しい教材を増やさない時期です。既にやったものの精度を上げること、体調と生活リズムを試験時間に合わせることに集中してください。試験は2日間にわたる長丁場です。睡眠を削って積み上げた知識より、当日の集中力のほうが得点に効きます。
既卒生の秋:戦略の再設計から始める
既卒生の受験は、現役生の受験とは別competitionだと考えてください。知識量では有利なはずなのに結果が伴わないことがあるのは、学習以外の条件が大きく違うからです。
手続きは、すべて自分の責任になる
最大の実務的な違いがこれです。現役生は大学が出願の音頭を取ってくれますが、既卒生には誰も声をかけません。10月中旬以降に自分で受験手続書類を請求し、母校に卒業証明書を発行してもらい、11月30日までに提出する。この一連を自力で完了させる必要があります。
特に注意したいのが卒業証明書です。母校の窓口の営業日、郵送のやり取り、発行までの日数を考えると、10月のうちに請求しておくのが安全です。11月下旬に慌てて動いて間に合わなかった、という事故が最も起きやすいのがここです。
まず「なぜ届かなかったか」を特定する
秋を迎える前に、必ずやっておきたいのが前回の失点分析です。原因の型によって、秋以降の設計がまったく変わります。
必修で基準を割った場合、一般・臨床の知識を増やしても解決しません。必修特有の出題(基本的な診察手技、医療倫理、法制度、コミュニケーション)と禁忌肢の回避を、独立した対策として組み直す必要があります。
一般・臨床の総合点が届かなかった場合は、領域ごとの偏りを見ます。「全体的に少し足りない」ケースは稀で、多くは特定領域が大きく沈んでいます。
点数は取れていたのに落ちた場合は、相対基準の性質上、周囲との差の問題です。この場合、必要なのは新しい知識ではなく、みんなが正解する問題を確実に取る精度です。
時間があることは、有利とは限らない
既卒生の最大のリスクは、実は学力ではなく生活の構造です。授業も実習も卒試もない。誰も進捗を確認しない。この状態で秋から冬までを一人で走り切るのは、想像よりずっと難しいことです。
現実的な対策は、外から締切を持ち込むことです。模試を予定に組み込む、週単位で誰かに進捗を報告する、決まった時間に決まった場所で勉強する。意志ではなく仕組みで解決するという発想が、既卒生にとっては学習法そのものより重要になります。
もう一点、既卒生の学習で見落とされがちなのが情報の更新です。ガイドラインの改訂、新規収載された薬剤、公衆衛生の統計や制度は毎年動きます。前年の教材をそのまま使い続けると、この差分が静かに失点になります。
CBT直後から始める国試対策:4年生冬から5年生の秋まで
CBTを終えたばかりの人にとって、国試は2年先の話です。しかし、この時期の使い方で、6年生の秋の余裕がまったく変わります。
CBT直後は、実は最も知識が整っている
意外に思うかもしれませんが、CBT直後は基礎医学と臨床医学の接続が最もよくできている時期です。ここで完全に手を止めると、5年生の臨床実習中に基礎知識が抜け落ち、6年生で再構築することになります。
とはいえ、この時期に国試の過去問を大量に回す必要はありません。むしろ非効率です。推奨したいのは、週に数時間でいいので「知識を触り続ける」ことと、臨床実習を国試の教材として使う習慣をつけることです。
臨床実習は、最良かつ最安の国試教材である
ポリクリで受け持った症例について、その日のうちに教材の該当項目を開く。これを習慣にできた人は、6年生になったときの記憶の定着がまるで違います。
理由は単純で、国試の臨床問題は症例のストーリーで問われるからです。文字情報として暗記した知識は忘れますが、実際に見た患者と結びついた知識は残ります。5年生の1年間で経験する症例の数を考えれば、これは他のどんな教材より強力です。
具体的には、担当症例の主訴から鑑別を3つ挙げてみる、検査値の意味を自分で説明してみる、処方された薬の作用機序を確認する。1症例あたり15分程度で十分です。
5年生のうちに、マイナー科の初回通しを終える
6年生になってから最も時間を食うのが、眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・泌尿器科・精神科・産婦人科・小児科といった領域です。範囲が広く、実習期間が短い科目も多いため、後回しにされがちです。
5年生のうちにこれらを一度通しておくと、6年生の夏以降が驚くほど楽になります。1周目は完璧を目指さず、「どこに何が書いてあるか分かる」状態を作るだけで十分です。
公衆衛生は、早く始めても損をしない数少ない領域
公衆衛生は暗記中心で、統計や制度は毎年更新されます。「早くやると忘れる」と敬遠されがちですが、全体の枠組み(保健医療制度、社会保険、母子保健、感染症法、労働衛生の体系)は簡単には変わりません。枠組みを早めに入れておき、数字と制度の更新だけを6年生で上書きする。この分け方が最も効率的です。
3つの立場に共通する、秋の落とし穴
教材を増やしても、点数は増えない
秋になると不安が高まり、新しい講座や問題集に手を出したくなります。しかし合格者の多くは、教材の種類ではなく同じ教材の反復回数で差をつけています。秋以降に教材を増やしていいのは、明確な弱点領域が特定できたときだけです。
「わかる」と「解ける」を混同しない
講義動画を見て理解した状態と、試験本番で選択肢を切れる状態は別物です。インプットの時間が長く、アウトプットが少ない人は、模試で必ず頭打ちになります。秋以降は、学習時間の半分以上を問題を解くことに充てるのが目安です。
睡眠と体調は、学習計画の一部である
冬は感染症の季節です。1週間寝込めば、それまでの計画は簡単に崩れます。睡眠時間を削って生み出した時間は、後で体調不良として利息付きで回収されます。無理のきく計画より、続く計画のほうが最終的な総学習量は多くなります。
よくある質問
Q. 第121回医師国家試験の日程はいつですか?
2027年2月6日(土)・7日(日)の2日間です。合格発表は2027年3月16日(火)午後2時です。
Q. 第121回の出願期間はいつですか?
2026年11月2日(月)から11月30日(月)までです。郵送の場合は書留郵便を利用し、11月30日までの消印があるものに限り受け付けられます。受験手数料は15,300円で、収入印紙を受験願書に貼付します。
Q. 6年生は秋に何から手をつけるべきですか?
9月までに全範囲を一度通し終えることを目標にし、10月は卒業試験対策と出願準備、11月からは必修対策と公衆衛生に本腰を入れる、という順序が基本です。必修と公衆衛生は後回しにされやすく、かつ不合格の直接原因になりやすい領域です。
Q. 卒業試験対策と国試対策は分けるべきですか?
大学の卒業試験が国試型であればほぼ一本化できます。教授の専門領域に踏み込んだ独自問題が多い大学では一本化できないため、卒業試験対策は別作業と割り切り、その時間をあらかじめ計画に組み込んでおくほうが安全です。
Q. 既卒生が現役生と特に違う点は何ですか?
出願手続きをすべて自分で行う点、大学という所属がないため学習リズムを自力で作る必要がある点の2つが大きな違いです。特に卒業証明書は母校への請求と郵送に時間がかかるため、10月中に手配しておくことをおすすめします。
Q. 既卒生は秋に何から始めるべきですか?
前回の失点構造の特定です。必修で基準を割ったのか、一般・臨床の総合点が届かなかったのか、領域に偏りがあったのかによって、必要な対策がまったく異なります。原因を特定せずに全範囲を最初からやり直すのは、最も時間を浪費する方法です。
Q. CBT直後から国試対策を始めるべきですか?
過去問を大量に回す必要はありませんが、知識を完全に止めないことをおすすめします。特に効果的なのは、臨床実習で受け持った症例について当日のうちに教材の該当項目を確認する習慣です。症例と結びついた知識は忘れにくく、6年生での定着度が大きく変わります。
Q. 5年生のうちにやっておくと有利なことは何ですか?
眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・泌尿器科・精神科など、範囲が広く後回しにされやすい領域を一度通しておくことです。1周目は完璧を目指さず、どこに何があるか分かる状態を作れば十分です。公衆衛生の枠組みを早めに入れておくのも有効です。
Q. 秋から新しい問題集を追加すべきですか?
原則として推奨しません。合格者の多くは教材の種類ではなく同じ教材の反復回数で差をつけています。追加してよいのは、模試などで明確な弱点領域が特定できた場合に限ります。
Q. 模試の結果はどう見ればよいですか?
総合点よりも失点の内訳です。必修が基準を超えているか、どの領域で落としているか、そして「知らなかった」のか「知っていたのに間違えた」のかを分けて確認してください。後者が多い場合、必要なのは知識の追加ではなく解答手順の修正です。
おわりに
秋の3か月は、6年生にとっては最も忙しく、既卒生にとっては最も孤独で、5年生にとっては最も油断しやすい時期です。共通しているのは、「何をやるか」より「何をやらないか」を決めた人が伸びるということです。
不安なときほど、教材を増やし、範囲を広げ、時間を延ばしたくなります。しかし2月に必要なのは、広く浅い知識ではなく、確実に取れる問題を確実に取る力です。
MediEは「教えない、導く。」をモットーに、医学部の進級対策・CBT・医師国家試験対策を専門とする個別指導塾です。今の自分に必要なのは知識の追加なのか、順序の組み替えなのか、それとも生活の構造なのか。判断に迷ったら、一度ご相談ください。
本記事に記載した日程は、厚生労働省が2026年7月1日に公表した第121回医師国家試験の施行内容に基づいています。手続きの詳細や必要書類は受験資格区分によって異なり、変更される場合もあるため、必ず厚生労働省の正式な受験案内でご確認ください。