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医学部1年生の2月:遊ぶ?予習する?2年生の地獄を乗り切るための戦略的過ごし方

本記事の監修者

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水木 泰祐 (Dr.みずき)

東邦大学医学部卒。浪人・留年・国試浪人を経て、医学教育の革新に挑む。
「4浪4留2国浪」という異色の経歴を持ち、医学部入学から医師国家試験合格までに数多くの困難を経験。その過程で得た知見と反省を活かし、同じように悩む医学生を支援するため、医師国家試験個別指導塾「MediE(メディエ)」を設立。「教えない、導く。」をモットーに、コーチング・メンタリング・コンサルティングを融合させた独自の指導法を展開している。
MediEでは、個別最適化された学習支援を通じて、留年・放校・国試不合格のリスクを抱える医学生の自学自習力を育成。また、YouTubeチャンネルやSNSを活用し、医学教育の在り方そのものに変革をもたらす活動も積極的に行っている。

目次

医学部に入学して初めての冬。1年生の皆さん、2月をどう過ごしていますか?

「やっとテストが終わった!」「春休みだ、思いっきり遊ぶぞ!」そんな声が聞こえてきそうですね。でも、ちょっと待ってください。この2月という時期、実は医学部生活のターニングポイントになるんです。なぜなら、多くの大学で2年生になると、急激に勉強の難易度が上がるから。基礎医学という名の分厚い壁が、すぐそこまで迫っています。

「え、もう勉強の話?せっかくの休みなのに…」そう思いましたか?大丈夫、この記事は「ひたすら勉強しろ」という精神論ではありません。むしろ、賢く休み、賢く予習することで、その後の3年間を圧倒的に楽にするための戦略を伝授します。

なぜ医学部1年生の2月は特別なのか

高校までの勉強と医学部の勉強は、根本的に違います。高校は「理解して解く」ことが中心でした。しかし、医学部は「膨大な情報を記憶し、関連付ける」ことが求められます。特に1年生から2年生への移行期は、そのギャップが最も大きく開く時期なんです。

地獄の基礎医学が始まる

大学によって差はありますが、医学部では2年生になると本格的に基礎医学がスタートします。具体的には、解剖学、生理学、生化学の「御三家」が待ち構えています。特に解剖学は、覚える部位の名前が数百〜千単位にも及び、最初の関門として多くの学生を苦しめます。

私の大学時代、先輩たちは「解剖の教科書は辞書だと思え」と言っていました。本当にその通りで、ページをめくるたびに知らない単語の洪水です。これを4月からいきなりスタートすると、最初の数週間で圧倒されてしまい、モチベーションを失いかねません。この「圧倒される経験」こそが、その後のスランプの大きな原因になるのです。

時間的な余裕は今がピーク

考えてみてください。1年生は一般教養や緩やかな専門科目が中心で、比較的自由な時間が多かったはずです。しかし2年生以降、特にCBTやOSCE、実習が近づく高学年になるにつれて、自由な時間は激減します。まとまった休みが取れるのは、この1年生の春休み、つまり2月と3月が最後だと思って間違いないでしょう。

この貴重な時間を、ただゲームや旅行に費やすのはもったいない。もちろんリフレッシュは大切ですが、少しだけ未来への投資をしてみませんか?

2年生から始まる「御三家」を予習する戦略

予習と言っても、分厚い教科書を最初から読み込む必要はありません。それは非効率的です。大切なのは、全体像(マップ)を把握すること、そして専門用語に慣れることです。

解剖学:地図を手に入れる

解剖学は、人体の構造を学ぶ科目です。いきなり細かい筋肉や神経の名前を覚えるのは無理。まずは全体像をつかみましょう。

  • アトラス(解剖図譜)を眺める:教科書よりも、図譜(アトラス)をパラパラとめくるのがおすすめです。人体の構造が視覚的に頭に入ってきます。有名なのは『ネッター解剖学アトラス』や『プロメテウス解剖学アトラス』ですね。
  • 用語に慣れる:特にラテン語由来の専門用語に慣れておくと、授業が始まってからのストレスが半減します。「大腿骨(だいたいこつ)」「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」など、まずは漢字と読み方をスムーズに言えるようにしておくだけで十分です。

生理学:流れと仕組みを理解する

生理学は、体がどう動いているか、その機能を理解する科目です。ここは暗記よりも「なぜそうなるのか」という論理的な流れが大切になります。

例えば、心臓がどうやって血液を送り出すのか、腎臓がどうやって尿を作るのか。これらは複雑なステップを踏んでいます。教科書を読むのが大変なら、まずはYouTubeや予備校の基礎的な解説動画をいくつか見てみましょう。全体のロジックがわかれば、細部の暗記は後からついてきます。

生化学:化学アレルギーを克服する

生化学は、体内の化学反応を扱う科目です。高校で化学が苦手だった人は、ここでつまずきやすい。特に代謝経路(TCA回路、解糖系など)は複雑で、多くの学生が最初の壁と感じます。

ここで重要なのは、完璧を目指さないこと。まずは「グルコースが分解されてエネルギーになるんだな」という大枠を理解し、代表的な物質名(ATP、NAD+など)に親しんでおきましょう。細かい酵素の名前は、授業が始まってからで遅くありません。

私の経験では、2月に毎日1時間だけ、この「御三家」のいずれかに触れる時間を作った学生は、4月からのスタートダッシュが段違いでした。特に解剖学の用語に慣れておくだけで、授業中の板書スピードについていけるようになります。

リフレッシュと自己投資のバランス

「予習が大事なのはわかったけど、遊びたい気持ちも強い…」当然の感情です。医学部生活は長丁場。この2月に燃え尽きてしまっては意味がありません。大切なのは、リフレッシュと予習のバランスです。

思いっきり遊ぶ日のルール

旅行や趣味に没頭する日は、思いっきり楽しみましょう。ただし、ルールを一つ決めてください。それは「遊ぶ日と予習する日を明確に分ける」ことです。

例えば、週に4日は完全にオフ、残りの3日は午前中に2時間だけ予習。こんなメリハリをつけることで、罪悪感なく遊べますし、予習の集中力も高まります。中途半端に「今日は遊ぶけど、夜に少しだけ…」と考えると、結局ダラダラしてしまいがちです。

医学部生として必要なスキルを磨く

勉強以外で、この時期に自己投資しておくと良いことがあります。それは、情報整理能力とコミュニケーション能力です。

効率的なノート術の確立

2年生以降、情報量が爆発的に増えます。紙のノート、iPad、PC、どれを使うにしても、自分にとって最も効率的なノートテイキングの方法を確立しておきましょう。先輩のノートを見せてもらうのも良い方法です。特に、情報をいかに短時間で検索できるように整理するかが、後々のテスト勉強で命を救います。

英語力の維持向上

医学は常に進歩しています。最新の論文や情報は英語で書かれていることがほとんど。TOEFLやTOEICの勉強をする必要はありませんが、医学系のニュースを英語で読む習慣をつけておくと、将来的に役立ちます。例えば、BBC HealthやNew England Journal of Medicineの一般向け記事を読むなど、少しずつ英語に触れてみませんか。

2月中に決めておきたいこと

新学期が始まるとバタバタします。今のうちに、次の学年の生活基盤を整えておきましょう。

生活リズムの調整

春休みに入って夜更かしが習慣になっていませんか?医学部の授業は朝早くから始まることが多いです。特に解剖学実習がある日は、遅刻厳禁。2月の後半からは、少しずつ授業のある時間帯に体を慣らしておくのが賢明です。朝8時には起きる、これを目標にしましょう。

信頼できる勉強仲間を見つける

医学部の勉強は、一人で抱え込むと必ず限界が来ます。2年生以降、グループワークや実習が増えますが、テスト勉強においても、お互いに教え合える仲間は非常に重要です。1年生でできた友人関係を、この2月でさらに深めておきましょう。

「この分野は君に任せる」「僕はここのまとめを担当する」そんな風に協力し合える関係性が、過酷な基礎医学を乗り越える鍵となります。信頼できる仲間は、何よりも強い武器になる

まとめ

医学部1年生の2月は、単なる春休みではありません。それは、来るべき2年生の難関を乗り越えるための「戦略的な準備期間」です。この時期をどう過ごすかで、あなたの医学部生活の難易度が大きく変わります。

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