こんにちは。医学部進級・医師国家試験対策の個別指導塾 MediE(メディエ) です。
9月に入りました。6年生にとって、ここからの4か月は卒業試験、マッチング、国試対策が同時に走る時期です。10月8日にマッチングの希望順位が締め切られ、10月22日に結果が出て、11月2日から国試の出願が始まる。その裏で、多くの大学では卒業試験が本格化します。
この時期に最も多い相談が、「卒試対策と国試対策、どちらを優先すべきか」というものです。
結論を先に書きます。この問いに一般解はありません。あなたの大学の卒業試験がどういう試験かによって、答えが正反対になります。そして、その見極めを9月中にやったかどうかが、冬の余裕を決めます。
まず前提:卒業試験は国試と同格の関門である
意外と軽く見られがちですが、制度上、卒業試験は国試と並ぶ関門です。
国試の出願は、多くの6年生が卒業見込証明書で行います。そして卒業見込で出願した人は、2027年3月9日(火)14時までに卒業証明書を提出しなければなりません。
つまり、国試を受験して合格していても、卒業できなければ資格を失います。2月に手応えがあっても、卒業が確定しなければ意味がない。ここが、卒業試験を「国試の練習」程度に捉えてはいけない理由です。
加えて現実的な話として、国試の合格率を維持するために卒業試験で選抜を行う大学が存在します。この場合、卒業試験は単なる通過儀礼ではなく、明確な選抜試験です。自分の大学がどちらのタイプかは、上級生から必ず確認してください。
9月にやるべき唯一のこと:自分の大学の卒試を「分類」する
優先順位を考える前に、事実の把握が先です。次の3点を、9月中に紙に書き出してください。
1. 日程をすべて洗い出す
本試験の日程だけでは足りません。再試験・追試験がいつ組まれるのかまで確認します。ここが冬の設計を決めます。
大学によっては、再試験が12月から1月にずれ込みます。この時期は国試の直前期です。「再試になったら国試対策が1か月止まる」という構造を、9月の時点で認識しているかどうかで、10月からの動き方が変わります。
2. 出題形式を確認する
5択のマークシートか、記述か。過去問からの再出題が多いのか、毎年作り替えられるのか。科目別か、総合試験形式か。国試の形式に寄せてあるのか、講義内容に忠実なのか。
3. 過去問と情報を確保する
医学部の試験は情報戦です。卒業試験も例外ではありません。過去問が手元にない状態で臨むのは、それだけで大きなハンディになります。同級生とのつながりが薄い自覚がある人は、この作業を最優先にしてください。
3つの型と、それぞれの配分
洗い出した情報をもとに、自分の大学の卒業試験を分類します。
型A:国試型(過去問ベース・5択・臨床問題中心)
出題が国試の形式に近く、範囲も国試の出題基準に沿っている場合です。この型なら、卒試対策と国試対策はほぼ一本化できます。
やるべきことは、国試対策をそのまま進めながら、卒試の直前2週間だけ大学の過去問を回すことです。専用の対策期間を長く取る必要はありません。むしろ、卒試を国試対策の進捗確認として使えます。
この型の落とし穴は、油断ではなく逆方向のミスです。「どうせ国試の勉強で通る」と考えて過去問の確認を怠り、大学独自の出題傾向を見落とす。直前2週間の過去問確認は、必ず入れてください。
型B:独自問題型(教授の専門領域・記述・講義準拠)
出題が担当教授の専門領域に踏み込んでいる、講義スライドから直接出る、記述式が含まれる、といった場合です。この型では、一本化は不可能です。
重要なのは、この事実を早い段階で受け入れることです。卒試対策は「国試対策の時間を削って行う別作業」だと最初から割り切り、その分の時間をあらかじめ計画に組み込む。これをやらないと、卒試のたびに「予定していた国試対策ができなかった」と焦ることになり、精神的な消耗が大きくなります。
具体的には、卒試の各回について「この試験には〇日使う」と先に決め、その日数を国試の学習計画から差し引いておく。差し引いた前提で計画を組めば、計画倒れになりません。
この型で最も危険なのは、卒試期間中に国試対策が完全にゼロになることです。9月から12月まで、断続的に卒試が続く大学では、気づくと3か月間まったく国試の勉強をしていない、という事態が起こります。1日30分でも構わないので、国試の問題演習を切らさない仕組みを作ってください。
型C:混合型(総合試験は国試型、科目別は独自)
実際にはこの型が最も多いはずです。総合試験は国試の形式に近く、科目別試験は各科の独自色が強い、というパターンです。
この場合、試験ごとに型を判定して対応を変えます。総合試験は国試対策の延長で扱い、独自色の強い科目だけ個別に時間を確保する。「卒試対策」とひとくくりにせず、試験単位で分けて考えるのが要点です。
卒試期間中も、絶対に止めてはいけないもの
どの型であっても共通する原則があります。それは、卒業試験でカバーされない領域を、卒試期間中に完全に止めないことです。
必修対策
必修は絶対基準で判定され、禁忌肢という独自のリスクもあります。そして卒業試験で必修特有の出題(医療倫理、法制度、患者とのコミュニケーション、基本的手技)が十分に扱われることは多くありません。卒試を通っても必修対策は1ミリも進んでいない、という状況が普通に起こります。
公衆衛生
暗記量が多く、統計や制度は毎年更新されます。卒試の出題範囲外になっている大学も多い領域です。後回しにされやすく、直前に詰め込む人が最も多いのがここです。
この2領域については、卒試の忙しさとは切り離して、週に決まった時間を確保しておくことを強くおすすめします。
10月をどう乗り切るか
9月から12月の中で、最も密度が高いのが10月です。
10月1日(木)は、国試の受験にあたって配慮を希望する場合の申請締切です。該当する人は忘れないでください。
10月8日(木)14時にマッチングの希望順位登録が最終締切を迎えます。システム時刻ちょうどで打ち切られるため、直前作業は避けてください。
10月中旬以降、国試の受験手続書類が配布されます。証明写真は出願前6か月以内という規定があるため、この時期に撮影するのが確実です。
10月22日(木)14時にマッチングの結果が発表されます。
ここに卒業試験が重なります。10月に新しい学習計画を立てようとしないことが現実的な対処です。9月のうちに10月の予定を組み終えておき、10月は決めたことを実行するだけの月にする。判断と実行を同じ月に詰め込むと、どちらも精度が落ちます。
心理面での注意点
卒試の点数に一喜一憂しない
卒業試験は、あくまで卒業要件を満たすための試験です。点数の高低が国試の合否を直接予測するわけではありません。特に型Bの独自問題型では、卒試の点数と国試の実力の相関は弱くなります。通ればいい試験で高得点を狙う必要はありません。
卒試が終わった直後の1週間が危ない
最後の卒試を終えた解放感で、数日から1週間、勉強が止まる人が非常に多い。この時期は12月です。国試まで2か月を切っています。「卒試が終わったら1日だけ休む」と先に決めておくだけで、この失速はかなり防げます。
一人で抱えない
6年生の秋は、医学部6年間で最も負荷が高い時期です。卒業できるかという不安、マッチングの結果、国試へのプレッシャーが同時にかかります。
眠れない、朝起きられない、何をしても集中できないという状態が数週間以上続いているなら、それは気合いの問題ではない可能性があります。多くの大学には学生相談室や保健管理センターがあります。成績の話をしに行く必要はありません。体調の相談として利用して構いません。
よくある質問
Q. 卒業試験と国試対策は両立できますか?
大学の卒業試験の性質によります。出題が国試の形式に近い場合はほぼ一本化でき、卒試直前の2週間程度で過去問を確認すれば足ります。教授の専門領域に踏み込んだ独自問題や記述式が中心の場合は一本化できないため、卒試対策に使う日数を先に決め、その分を国試の学習計画から差し引いておく必要があります。
Q. 卒業試験に落ちると国試はどうなりますか?
卒業見込で出願した場合、2027年3月9日(火)14時までに卒業証明書を提出する必要があります。卒業できなければ、国試を受験して合格していても資格を失います。卒業試験は国試と同格の関門です。
Q. 9月に何から手をつけるべきですか?
卒業試験の日程(本試験だけでなく再試験・追試験も)、出題形式、過去問の確保の3点です。特に再試験が12月から1月にずれ込む場合、国試の直前期を圧迫するため、その可能性を9月時点で織り込んでおく必要があります。
Q. 卒試対策中、国試の勉強は止めてもよいですか?
完全に止めるのは避けてください。特に必修対策と公衆衛生は卒業試験で扱われないことが多く、卒試を通っても進捗はゼロのままです。1日30分でも問題演習を切らさない仕組みを作っておくと、卒試後の再開が楽になります。
Q. 卒業試験では高得点を狙うべきですか?
必要ありません。卒業要件を満たすための試験であり、特に独自問題型の大学では卒試の点数と国試の実力の相関は強くありません。高得点のために国試対策の時間を大きく削るのは、費用対効果が合いません。
Q. 10月が忙しすぎて計画が立ちません。
10月に計画を立てようとしないことです。10月8日にマッチング希望順位の最終締切、10月中旬に国試の受験手続書類の配布、10月22日にマッチング結果発表があり、そこに卒業試験が重なります。9月のうちに10月の予定を組み終え、10月は実行だけの月にするのが現実的です。
Q. 卒業試験の過去問が手に入りません。
医学部の試験は情報の有無が結果に影響します。同級生や上級生とのつながりが薄い場合、まずここを確保することを最優先にしてください。過去問なしで臨むのは、それ自体が大きなハンディになります。
おわりに
6年生の秋がきついのは、やるべきことが多いからではなく、種類の違う課題が同時に来るからです。卒試、マッチング、国試、出願手続き。それぞれ必要な頭の使い方が違い、切り替えのたびに消耗します。
だからこそ、9月のうちに分類と日程の洗い出しを終えておく価値があります。10月以降に必要なのは判断力ではなく、9月に決めたことを淡々と実行する体力です。
MediEは「教えない、導く。」をモットーに、医学部の進級対策・CBT・医師国家試験対策を専門とする個別指導塾です。自分の大学の卒試をどう位置づけ、国試対策とどう配分するか。判断に迷ったら、一度ご相談ください。
本記事に記載した国試関連の日程は、厚生労働省が2026年7月1日に公表した第121回医師国家試験の施行内容に基づいています。卒業試験の実施方法・日程・判定基準は大学によって大きく異なるため、必ず所属大学の要項および担当窓口でご確認ください。